チカン防止シールとは?
埼玉県警が発案し、2015年1月16日から希望者に配布しているチカンシールとは、一体どんなものなのでしょうか。
埼玉県では年間250から260件のチカン被害に関する相談があります。
チカンに遭った時に、声を出して「やめてください」と言える女性ばかりではありません。
むしろ、言えない女性の方が多いと言われています。
このような事情があり、何とかできないものだろうかと開発されたのが、このチカン防止シールです。
シールの大きさは約1.5cmで2枚重ねになっており、「さわらないで!」という文字と、ハトの婦人警官が赤い×印を出している絵柄が表面に印刷されています。
使い方ですが、チカンされたと感じたらまず、携帯電話・スマホや小物などにシールを貼って、印刷されている「さわらないで!」という文字を犯人に見せ、意思表示します。
それを見せてもチカン行為が止まらなければ、2枚重ねになっている「さわらないで!」の面をはがします。
はがすと下面に赤い×印がついているので、その「×」を犯人の手に押し付けます。
押し付けることによって、×印が犯人の手に転写されるようになっており、そのインクが油性で落ちにくく、犯人の手には証拠が残るという仕組みなのです。
埼玉県警鉄道警察によると、女性本人だけではなく娘や孫を心配した父親、祖父が派出所を訪れるケースも多いのだそうです。
最初に印刷されたシールは4000枚でした。
配布開始から3ヶ月程度で、最初に印刷した枚数がなくなりそうなほどの反響がありました。
チカン防止シールの問題点
女性からの反応としては、「声を出すのは勇気がいるけど、シールなら簡単かもしれない」「泣き寝入りしなくて済むかもしれない」などの好意的な物が多くありました。
しかし、女性の中でも疑問視する声があります。
混雑している電車の中、しかもチカンされている状況で冷静にシールを剥がして貼ることが可能なのか、貼れたとして犯人の手に正確に×印を転写させることが可能なのか、という点で疑問が残るようです。
また、男性からは「何もしていないのにつけられたらどうしたらいいのか」「冤罪が起こるのではないか」「間違いでつけられたら困る」など、不安げな声が多く聞かれています。
埼玉県警鉄道警察では、「シールの×印だけで犯人と認定するわけではない」としています。
しかし、実際には無罪だったとしても間違えられた、という事実が問題だとする人も多く、問題点や改善すべき点はまだまだあると言えるでしょう。
特に、最近ではチカンの冤罪事件が増加傾向にあるため、男性の中には「早く男性専用車両が欲しい」という人も増えています。
ただ、このような物が作られたことが広く知られることで、一定の抑止力は持つのではないか、という声もあります。
このような取り組みが増え、議論が進めば、もっと良い方法が出てくるかもしれませんね。